吸血鬼の館††幻想館†† 管理人"悠貴"による吸血鬼関連作品感想手帖。
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作者:清水正晴
発売:現代書館
初版:1997年04月30日
価格:3,000
頁数:317
ヴラドは人質や亡命という苛烈な生涯のなかで、ひたすら荒野の風景をみつめてきた。ヴラドのぶきみなほどにおおきく見ひらかれて青く澄んだ瞳のなかにうつる祖国ワラキアのゆたかにひろがる草原地帯は、彼の心のなかではhてしない荒野だった。生きものの気配もない烈風ふきすさぶすさまじい荒野を、彼はじっとみつめつづけるしかなかった。イコンを棄ててその荒野を流亡しながら、ヴラドは自分にむけて問いつづける。この荒野に、聖霊はあるか、神はおわしますのか。そしてまた、荒野に呻吟するこのヴラドの耳に、クルテア・デ・アルジェシュ大主教聖座教会の鐘の音は聞こえたのだろうか。(本書「暗殺」より)
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部分的にちょっと小説っぽく語りが入るんで、その辺はどうかなぁ? と微妙な感想を覚えました。登場人物の心情はあくまでも筆者の想像なわけで……それが他の文章と区別せずにいきなり始まると「あれ?」って感じがします。1章目の始まりがいきなりそんな感じで戸惑いました。
が、それ以外の部分は分かりやすく説明されているので、ヴラド・ツェペシュに興味があるなら読んで損は無いと思います。
巻頭に15世紀の中欧地図、巻末に家系図と関連各国君公在位年代一覧有り。
ただ、ヴラド・ツェペシュに関する資料というのは諸説入り乱れているようで、日本国内で出版されている本だけを見ても、書いてあることにバラつきがあります。1冊読んで信じ込まずに、できれば手に入る資料をどんどん読むのをお薦めします。入手困難な書籍が多いのが難点ですが。
『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝』あたりと合わせてどうぞ。
全然関係無いんですけど……この本、帯が付いているのを前提とした表紙のデザインですよね……帯が無いと何だかまぬけ。