吸血鬼の手帖

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† 腐った林檎と吸血鬼

作者:夏緑
イラスト:十夜
発売:ホビージャパン HJ文庫
初版:2009年05月01日
価格:590
頁数:254
 小滝浦人は窓月なゆりとの初デートの日、連続殺人犯に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。
 その時、彼を救った(?)のはゴスロリファッションに身を包んだ美少女・九結ラミカだった。彼女によって吸血鬼にされた浦人の生活は大きく変化していくのだが……。
 吸血鬼でゴスロリな美少女が躍動する、学園吸血鬼ファンタジー開幕。
 なんだろう、行間から田中芳樹っぽい何かを感じる。
 あるいは匿名掲示板の書き込み臭。
 世の中の腐敗を主張しつつそれを知っている俺スゲェ臭とでも言いますか。
 こじらせた中二病の香り?
 そういう作風なのかも。ちょっと煽るような。
 別にそれが悪いというわけではなくて、読んでいての印象です。

 吸血鬼の弱点について科学っぽく解説がついてます。
 吸血鬼になる原因であるウィルスの名前がヴラドウィルスだったり、実際作中にヴラド公が(過去回想シーンですが)出てきたり、よくあるお約束は踏襲しつつも、全体的に見ると吸血鬼はファンタジーではなくて科学的・医学的に説明できる存在というスタンス。
 なので、ファンタジー、オカルト寄りの吸血鬼が好きな人には合わないかも。

 この世界の吸血鬼にとって、人間は食糧=手を掛けて栽培する林檎。
 放っておけば戦争や病気で収穫量が減ってしまう。
 腐った林檎(犯罪者)があれば、せっかく育てた他の健康な林檎まで害が及んでしまう。
 だから暗躍して世界平和に尽力し、医療機関で働き、果ては法で裁かれない腐った林檎を刈り取る、と。
 なんともまぁ、支配者なんだか下働きなんだかわからない吸血鬼達です。

 最後の戦闘シーンはかなりインパクトありました。
 それを武器にするのか。その発想はなかったよ。

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