吸血鬼の手帖

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† ヴァンパイア・キス-レインの挑戦-

原題:Girls That Growl
作者:マリ・マンクーシ(Mari Mancusi)
訳者:笠井道子
イラスト:吉原世
発売:小学館 ルルル文庫
初版:2009年02月04日
原語版初版:2007
価格:581
頁数:333
 吸血鬼の力を失った代わりに世界を救い、最愛の恋人ジェレス(吸血鬼!)も得たレイン。めでたしめでたしと思ったのに、もう一度「吸血鬼殺し」として働かなきゃいけない! 今度の事件は人狼がらみで、その謎を調べるためにレインは天敵のチアリーダー部に紛れ込むことに。しかもジェレスとの関係もなんだかぎくしゃくしだしたからさあ大変――大人気、吸血鬼ラブロマン、感動の大団円!
 ちょっ、とうとう冒頭からバフィーネタ直球で投下!? いわゆる「前回までのあらずじ」の代わりなんですが、しょっぱなから噴いたじゃないか。

 今回、ゴス少女レインがチアリーダーになるというとんでも展開で、どんな殺伐なことになるのかと思えば、頭空っぽのチアリーダーvs黒い魔女、とお互い馬鹿にし合っていた両者がちょっとずつ歩み寄る、割と真っ当なお話に。

 原文からそうなのか翻訳のお陰なのかわかりませんが、思春期の心の揺らぎがよく表現されていると思います。根拠無き万能感とか自己中心的なところとかそのくせ悲観的なところとか世の中斜めに見ちゃってるところとか。
 かといって中二病な文章ではなくて、どちらかと言えば中二病を上からじっと観察しているような文章とでも言えばいいのか。書いてる作者は意外と冷静だったりするんじゃなかろうか。
 レインの我儘、苛立ち、八当たり、不安、見事なまでに青春ですよ。
 相変わらず1冊で話を区切るためか展開がジェットコースター(特に後半)なご都合主義ですが、ここで変にアンハッピーな方向に突っ走られても持ち味と違うと思うので、これはこれで良しと。

 そして原書が出ているのはここまでで、これで一応大団円らしい。
 ちょっと拍子抜け。
 てっきりサニー主人公、あるいはサニー&レインのダブル主人公の話ももう少しあるものだと予想していたのに。
 あくまでも「原書が出ているのはここまで」であって、シリーズが正式に終わっているのかどうか、あとがきからでは判別が難しいのですが。
 続刊出たりしませんかねぇ?
 なんか燃料だけ投下するだけ投下して、結局燃焼不良起こしたような感じ。

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