† ヴァンパイア・キス-レインの恋-
原題:Stake That!
作者:マリ・マンクーシ(Mari Mancusi)
訳者:笠井道子
イラスト:吉原世
発売:小学館 ルルル文庫
初版:2008年12月03日
原語版初版:2006
価格:581
頁数:328
作者:マリ・マンクーシ(Mari Mancusi)
訳者:笠井道子
イラスト:吉原世
発売:小学館 ルルル文庫
初版:2008年12月03日
原語版初版:2006
価格:581
頁数:328
双子の妹サニーが吸血鬼になりかけた事件の直後、今度は姉のレインがある組織から「吸血鬼殺し」に任命されてしまった!
とんでもない事態に焦る中、潜入先の<血の酒場>で美形だけど自分勝手な吸血鬼ジェレスと出会い……!?
やがてレインは吸血鬼達がつくる結社のリーダーを巡る争いに巻き込まれていく。そしてジェレスに助けられることになり、レインの心は……!?
吸血鬼と少女のラブロマン!
吸血鬼になりたくて仕方がないのに、吸血鬼スレイヤー(ハンター)に選出されてしまったレイン。
そして吸血鬼組織の内部抗争を調査するようにスレイヤー株式会社からの依頼。
どう考えても吸血鬼側の人間がスレイヤーになる、しかもその双子の片割れは吸血鬼組織のトップの恋人というこんがらがった舞台設定。この時点で波乱万丈の予感ですよね。
で、スレイヤーっていうのが名称から予想できる通り完全にBaffy:the Vampire Slayerのパロで、バフィーを知っていればいろいろ笑えるポイントがあります。
ほぼ全編、レインの綴るblog+日記形式。
コメント欄への書き込みまで表記されていて、「管理人によって削除されました」って部分が取り消し線で表現されていて、基本的に文字装飾系ラノベは好きじゃないんですが、これはちょっと上手いなと思ってしまいました。
考えてみたら、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』も登場人物の日記形式。ということはこれって現代風に進化した正統派になる、の、かしら……?
blogの内容がまたいい具合にすっ飛んでいて、このblogが本当にあったら某巨大掲示板のヲチ板に専スレ立ちそうな勢い。むしろ私が見に行く。
オンラインゲーム中にチャットの入力窓を間違えてWSPをオープンで言っちゃった上にその内容をblogでネタにしてコメ欄で当事者の喧嘩勃発とか、匿名希望(名無しさん)の悪意コメ連打とか、あるあるあるあ……WSPをblog公開はないかな……。
何にせよ、blog(or掲示板付きサイト)を運営したことのある人なら、読んでて思わず胃の辺りを押さえてしまいそうな、嫌なリアリティが。
ついでに同じ家の中にいるのにチャットでやりとりしている状況に親近感が。
15年前だったらこういう描写出てこなかっただろうな。10年前だったらICQが飛び交っていた記憶があるので有り得そうな。どちらにせよ、時代を感じさせますね……。
1巻を読んだ時に感じた「レインの方が人間味あって好き」っていう感覚は大当たりで、1巻よりずっと面白いです。少なくとも私には。
最終的には女の子向け(ですよね?)ラノベらしいそれなりに都合の良い無難なラインに落ち着くのですが、そこに至るまでの間、全体的にコメディタッチなのにところどころ家族の繋がりだとか、人間の弱さだとかが織り込まれていて、軽い気持ちで読んでいたのに良い意味で裏切られました。
次もレインの話らしいので楽しみです。