これ以上馬鹿すぎるダジャレネタの吸血鬼って存在しないんじゃないか、と思うくらい直球。まさにキウイ。
　吸血鬼はやっぱり強くて美形で（中略）な人にはお奨めしません。

　実は同じ作者の別の本（『人間合格』）を持っていて、しかも結構気に入っていて、初めてこの『ドラキウイラ』が雑誌に載っているのを見た時は、「うわ、あの本の作者吸血鬼ネタ描いてたんだっていうかキウイ！？」といろんな意味で驚きました。
　とはいえ、雑誌に連載しているのは知っていても、きちんと読んだ事はありませんでした。何せ4コマなんで、続き読みたい！　雑誌出る度にチェックしよう！！　っていう風にはならなかったんですよね。
　今回、新刊情報にこのタイトルを見つけて「1冊になるだけの分量溜まったんだ！？　むしろ続いてたんだ！？！？」と正直吃驚。
　そして1冊通して読んでみたら、「キウイケツキ ドラキウイラ」ってタイトルからしてベタベタ過ぎる割に、しっかり吸血鬼他モンスター小ネタを取り入れてあってさらに吃驚。
　あとがきで

「自分で描いていながら何が面白いのかイマイチわからなかったドラキウイラ。
　なぜなら私は真剣に吸血鬼が大好きだったから！！　例えば吸血鬼が生き血のかわりにトマトジュースを飲むという冗談すら許せない程好きなのに！　“キウイケツキ”なんていうダジャレで笑いものにするなんざなんという自虐の日々！」

　と赤裸々に吼えているのを見て、いろいろ納得。
　吸血鬼に対して中二病真っ只中のような愛を抱きつつ、「でも××だよね……」と心の奥底で突っ込んでしまう。その突っ込み部分の発露ですよ。いやぁ、いいわぁ。
　私この人の阿呆ネタ好きだわ。

　あとがきを読む前と読んだ後では、著者近影のコメント

『吸血鬼の物語を描きたいと思っていた。もうずっと昔からそう夢見ていた。とびきり美形の吸血鬼が、黒いマントを翻してトランシルヴァニアの闇をさまよう物語…。
　なにがどう間違えてこうなったのか、まさしく魔がさしたとしか思えない…。』

の切なさが段違いです。
　そしてその切なさにすら笑ってしまいました。

　懐かしい気分になったのでちょっと人間合格発掘するかな……