吸血鬼の手帖

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† サンシャイン&ヴァンパイア(上)

原題:Sunshine
作者:ロビン・マッキンリイ(Robin MacKinley)
訳者:藤井喜美枝
表紙:藤川純一
発売:扶桑社 扶桑社ミステリー
初版:2007年11月30日
原語版初版:2003
価格:876
頁数:427
 魔法や魔物が実在する現代世界。最凶の存在=ヴァンパイアと、人間が全面衝突した<ヴードゥー戦争>は、かろうじて人間の勝利に終わったが、人口は激減し、郊外には危険な<悪しき場所>が点在する。
「魔物対策部隊」が治安維持にあたっているが、恐怖はおさまらない――そんな世界の片隅の町に、家族経営のコーヒーハウスがある。
 店の名物は、サンシャインと呼ばれる女性が作る、すてきなパンの数々だ。
 ある夜、サンシャインは馬鹿な行動をしてしまう。ひとりで郊外へドライブに出かけたのだ…
 冒頭からしばらく続くあまりに平凡な日常風景っぷりに、これって本当に吸血鬼が出てくるファンタジー? と思わされましたが、読み進めていくとそこにぽつぽつと現実世界にはありえない設定が紛れ始めて、気がつけばしっかりファンタジーでした。
 完璧な異世界ではなく、かなり現代に近いパラレルワールド。
 ヴードゥー戦争と呼ばれる、ヴァンパイアが人間に対して起こした戦争のおかげで世界は程々に荒廃していて、魔法能力者は登録制だったり、魔物対策の組織があったり、若干人間が優勢にあるように見えます。
 主人公はコーヒーハウスで働くパン焼き職人の女の子。
 ある日偶然にもヴァンパイアの餌として誘拐されてしまったがために、連鎖的に事件に巻き込まれてしまうという流れ。
 コーヒーハウスを中心に話が進むので、読んでいるとお腹が空きます。
 そこまで描写しなくていいよ! と言いたくなるくらいに食べ物描写が。
 私もサンシャインの焼いたパン食べたい。

 ヒロインの一人称視点で書かれる文章が高確率で好みから外れる事に最近気づきました。翻訳作品だとさらに確率アップ。倍率ドン!
 なのに最近読んだ本にそのタイプが多い。(『アニタ・ブレイク』とか『死せる魔女がゆく』とか『ヴァンパイア・キス』とかね)
 この本も例に漏れずヒロイン視点。
 流行りですか。
 この手の文体ってヒロインが好みなら楽しさアップするんですけど、逆だった場合が……拷問?
『サンシャイン&ヴァンパイア』を読み始めた時も「うっ、またヒロイン視点か」と引きかけましたが、読み進めてみたらそんなに嫌いなタイプじゃなかったので一安心。

 という自分の好みの問題は一旦横に置いといて。
 文章が読み辛い&わかり辛い……翻訳だからある程度は目を瞑らないとしょうがないのかな。

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