吸血鬼の館††幻想館†† 管理人"悠貴"による吸血鬼関連作品感想手帖。
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作者:あざの耕平
イラスト:草河遊也
発売:富士見書房 富士見ファンタジア文庫
初版:2007年04月25日
価格:660
頁数:444
――今、余らに必要なものは?
「覚悟を」
東の龍王セイに答えた賢者の一言は、特区の状況を端的に表現していた。
『赤い牙』への奇襲、そして『黄昏橋』の爆破で宣戦布告してきた『九龍の血統』。彼らの用意した罠は着々と機能し、父たる九龍王の遺灰を封じていた真銀刀を奪い、墓所の結界を消滅させた。状況は特区を守る側に、圧倒的に不利――。
ミミコは思い浮かべる。ゼルマンのそばにいると言ったサユカの顔。開戦を誇るように優雅に一礼するカーサの姿。彼女たちは、それぞれの“覚悟”を秘めていた。ならばあたしも、できることをしよう。ジローさんと一緒に、戦い抜く覚悟を。
今、特区で全てを乗り越え、新たなる力を生み出すための物語が始まる――。
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リンスケの口調が、口調が。しょっぱなから泣かせるじゃないかこの展開。
龍王は龍王でアレだし。
物語のためなら容赦なく退場させるその心意気は素晴らしい。しょせん登場人物なんて物語のための道具だ! わかってるさ!! それでもやっぱり胸に来るものがあるじゃありませんか!!!
そんな嘆きは横に置いといて。
最初から能力インフレしまくった登場人物ばかりなので、これらの面子がどう潰し合って決着をつけるのか? としか考えていなかったんですが、ここにきてこんなに一気に勢力分布が激変するとは。全くの予想外でした。
ジローの心境の変化も、期待していたとはいえ実際そうなってくると、これから先どうなるやらと心配です。
そして、始祖誕生のくだりはなかなか興味深い。
始祖がいかにして始祖と成るのか。
ここまでの巻を読みながら、始祖ってどうやって生まれるんだろう? と疑問に思っていたので、しっかり説明がなされて痞えがひとつ取れた感じ。
ん? と一旦気になった事って、その後読み進めるうちに忘れてしまっていても、結構記憶のどこかに引っかかっているんですよね。
そういう心の片隅の忘れものが解決すると、読んでいて心地良い。
第1部完の時も結構良いとこで終わってましたが、第2部完はそれ以上に相当引っ張ったまま終わってます。
積読で良かった。