吸血鬼の手帖

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† よくわかる「世界の幻獣」事典

作者:「世界の幻獣」を研究する会(土屋光司、鈴木弘子、小林基修、他)
発売:廣済堂出版
初版:2007年04月10日
価格:648
頁数:271
「幻獣」という言葉から思い浮かべるものは人によってさまざまだが、抱く感情はいずれも「憧れ」ではないだろうか。
 大空を翔るペガサスや、強大なドラゴンに心を震わせた経験を多くの人が持っているだろう。
 本書は、映画、小説、ゲームなどに登場する有名な幻獣たちを、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカ、日本の5つの地域に分け、それぞれの地域の神話、宗教、歴史、文化的見地などから紹介した一冊。
 読めば、世界中の幻獣たちのことが簡単にわかる「幻獣バイブル」登場!
収録
1.ヨーロッパに伝わる幻獣
2.アジアに伝わる幻獣
3.アメリカに伝わる幻獣
4.アフリカに伝わる幻獣
5.日本に伝わる幻獣
吸血鬼メインではありません。

 ファンタジー小説を読んだりしているとちょくちょく見かける幻獣(モンスター)を、1種類につき2~4ページ程度で解説した事典。割とあっさりした紹介のみで、詳しく掘り下げてはいません。

 んで。
 ヴァンパイアの項目にブラン城が売りに出された件が早速書かれていました。早いね~。
 っていうのはいいんですが……表記がブラン城ではなくドラキュラ城になっている上に、ブラン城を「トランシルヴァニアにあるヴラド・ツェペシュ公爵の居城」と断言している有様です。
 あれはフニャディ・ヤーノシュのお城ですって。この書き方だとまるでヴラド公がブラン城の城主みたいじゃないですか。ヴラド公の居城として出すならポイエナリ城かトゥルゴヴィシュテの宮殿でしょ。両方とも既に廃墟だけど。
 しかも戦いで捕らえた敵兵を串刺し刑にしたのは事実じゃないとまで書かれていたりも。それじゃツェペシュ(串刺し)の名が泣くぞ。
 ヴラド公ではなくヴラド公爵と書かれているのにもなんか違和感。

 巻末にはかなり多くの参考文献が並べられ、その他にウェブサイトを参考にしていますと書かれているんですが……どっかの創作系サイトかニュースサイトから間違えて引っ張ってきたんじゃ……。
 私は吸血鬼以外のモンスターは詳しくないんでチェックできませんが、この様子だと他の項目の解説も怪しいかもしれないなぁ、これ。
 とりあえずこの本のヴァンパイアの解説を鵜呑みにして吸血鬼ファンに対して喋ったら、相手が相当軽度なファンでも鼻で笑い返されるかもしれないです要注意(笑)
 ちょっと調べればわかる範囲の大間違いですよ。
 ドラキュラ城のモデル≠ドラキュラ伯爵のモデルになったヴラド公の城、です。イコールで繋げちゃ駄目です。
 ブラン城(通称ドラキュラ城)は無論吸血鬼ファンなら一度は行きたがるお城ですが、ドラキュラ伯爵のモデルになったヴラド公の城がまた別のところにあるのは結構有名だと思いますよ。
 話題性重視のニュースサイトの記事じゃないんだから、解説書、しかも幻獣バイブルとまで煽るなら、もっと裏とってから載せてください。
 とか言ってるとヲタって指差されるんだうわぁぁん。・゜・(ノД`)・゜・。

 世界各地のいろいろな種類のモンスターが載っている事典が欲しい! っていうんであれば、多少値は張りますが『世界の怪物・神獣事典』を買った方が最終的には役に立つかと。
 あくまで入門編として簡単なのをちょっと読んでみたいというならこの本でも悪くないのかもしれませんけどね。文庫だし。

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