† トーテム[完全版](下)
原題:The Totem
作者:デイヴィッド・マレル(David Morrell)
訳者:公手成幸
表紙:松山ゆう
発売:東京創元社 創元推理文庫
初版:2006年03月24日
原語版初版:1979
価格:940
頁数:365
作者:デイヴィッド・マレル(David Morrell)
訳者:公手成幸
表紙:松山ゆう
発売:東京創元社 創元推理文庫
初版:2006年03月24日
原語版初版:1979
価格:940
頁数:365
野獣のように変貌した少年、枝角を頂く獣人の影、感染者を狂わせる未知のウイルス……奇怪な事件の元凶はクイラーか? パニックのさなかに帰ってきたのは、かつて彼のもとに身を寄せ、ポッターズフィールドを追われた男だった。
スローター署長を拘束し武装蜂起するパーソンズ市長。戦場と化した町で署長たちに反撃の機は来るか?
恐怖とアクションに満ちたマレル入魂の大作!
一長一短。
どちらかというと完全版が好みでした。が、ところどころ旧版の方が良かったなと思う部分があり。
上巻を読み始めた時は「うわなんだこの別物っぷり!?」と吃驚したのですが、読み終わってみるとそこまで別物でもなかったので、納得したような、拍子抜けしたような。
とはいえ、ワンシーン丸ごと別シチュエーションなんてところもザラだったので、両方読んで損をするってことは無いと思います。
旧版では語られなかった登場人物の背景が語られていたのは良かったですし、テンポが速すぎと感じることも無かったし。正直ヒッピーって言われても「60年代だか70年代だかにはやった長髪の人たち」くらいの認識だったので、旧版には出てこなかったヒッピー側の描写も楽しめました。
一方で、具体的に指摘できるほどの印象ではないものの、「ここ別にこんなに長くなくてもいいんじゃない?」と思いながら読んだ部分もあったような……。
『呪われた町』に影響されて書かれた『トーテム』と『屍鬼』、『トーテム[旧版]』が『呪われた町』を短くしたタイプ、『屍鬼』が増量に増量を重ねたタイプだとしたら、『トーテム[完全版]』は『呪われた町』と『屍鬼』の間くらいの印象。
ページ数だけ比較するなら『呪われた町』と『トーテム[完全版]』って大して分量変わらないはずなんですが、『呪われた町』の方が短く感じるのは何故?
直前に読んだ旧版と比べてスピード感が消えた分、やたら長く読んでいた気分になっているだけかも?
ガッシュの作者に小学館が裁判を起こされた件でも思ったことだけど、作家にとっての「担当」って、大きな存在ですね。
担当の匙加減ひとつで作品が別物になっていくんだから恐ろしい。
となると、普段読んでいる小説や漫画(特に新人さんの)の不満に思う点も、結構な確率で編集の思いつきって可能性もあるんだよなぁ、なんて考えてしまいました。
まぁ大抵は作者の力量なんだろうけどさ。