吸血鬼の手帖

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† MOON CHILD 鎮魂歌【レクイエム】篇

作者:Gackt
発売:角川書店
初版:2003年10月30日
価格:1,900
頁数:369
 映画「MOON CHILD」のもうひとつの物語――。
 失われたものへの、哀しみの連鎖。
「MOON」の長い物語には、残酷ゆえに美しい思い出がちりばめられている。
 音楽・映画では語られていない、「MOON」の断片がまたひとつ、ここに生まれ落ちた――。
 残酷なほど哀しい、だからこそ美しい……。
 吸血鬼メインではありません。

 映画『MOON CHILD』の小説版、ではなく外伝。
 映画版はGacktとHydeの共演で、とびきり面白かった傑作かと言われると言葉を濁したくなるものの、V系(って分類するとHyde嫌がるんでしたっけ?)&美形好きにはなかなか美味しい吸血鬼映像でしたよね。映画館で上映していた頃、アン・ライス作品の翻訳でお馴染みの柿沼瑛子が同人誌上でベタ褒めしまくっていたのが記憶に残っています。
 個人的には弾装投げて装填するシーンが脳裏に焼き付いてしまってその他の部分がすっかり霞んでいるんですが……ってよく考えてみたらもう5年前の映画、それは細部忘れるわね……。
 GacktとHydeが演じていたショウとケイは小説にはほとんど出てきません=吸血鬼ネタ全然ありません。
 ワン・リーホンが演じた“孫”を“リン”という登場人物からの視点で描いています。ショウについては少しだけ、ケイにいたってはほぼ伝聞形くらいの影の薄さです。

 Gacktの書く小説っていったいどんな事になっているやら? と読み始めるのが不安でした。
 私の中でのGacktって、「MALICE MIZER」「裸族」「謙信公」「紅白で甲冑」というイメージでして。自分でも偏っている自覚はあるんですが。
 この先入観+映画を見た時の微かな記憶からいくとものすごい華やか煌びやかな文章が続くのかと勝手に戦々恐々(失礼)。実際読んでみたら、予想とは逆に淡々とし過ぎていて、それはそれであまり好きな文体では……うう~ん。
 最初の方イマイチかなと思いながら読んでいました。が、読み進めてみたら、映画版よりきちんと内容が伝わるようになっていて、思っていたよりは楽しめました。ただ説教臭いというか……うん。共感出来ない部分がちょろちょろとね。

 文庫版も出ていますが、文庫版あとがきが追加されているくらいで、特に加筆修正はなさそう。
 ただ、ところどころ手書きで表現されているページがあるので、文庫版だとその部分がちょっと読み辛いです。

 まぁそもそも吸血鬼全然関係ないんですけどねー。
 そしてここまで書いておいて、肝心の映画版を未紹介だったことに気付く罠。
 ……も、もう1回見直さないととてもじゃないけど記憶が残っていない。どうしよう。レンタル屋にあるだろうか。

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