吸血鬼の手帖

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† ドラキュラ物語

原題:Dracula
作者:ブラム・ストーカー
訳者:磯野秀和(翻案)
発売:集英社 子どものための世界文学の森
初版:1995年03月28日
価格:854
頁数:141
 この世に死ねない人が、いる?! その名は、ドラキュラはくしゃく。生きるために、次つぎに人の血をすいつづけ、仲間をふやします。そのドラキュラを退治するために、愛と友情でむすばれた六人の人びとが、ちえと勇気をふりしぼって、たたかいます。さて、吸血鬼ドラキュラは、ほんとうに死ぬのでしょうか。
 この本良すぎ。
 大元のストーリーはブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」ですが、子供向けに書き直してあります。日記や手紙という形ではなく、普通の物語風。ストーリーは概ね原作と同じ。はしょられている部分や、微妙に変えてある部分もありますが、これならダイジェスト版として読んでも問題無しかと。

 素敵だと思った点、その1。
 単語の註が細かい。子供向けにやたらめったら簡単な言葉に書き換えず、ページ下部にちょろちょろと註がついています。それがまたマニアック。子供に質問された時に親が答えられないであろう部分がカバーされている感じ。フン族やらウィンチェスター銃やらの概要なんて、多分大人でも知りませんって! カーファックス屋敷の土地20エーカーが東京ドーム約6個分とか(笑)
 素敵だと思った点、その2。
 巻末の解説がマニアック。ブラム・ストーカーが「吸血鬼ドラキュラ」を書くに到るまでの経緯、モデルとなったドラキュラ公ヴラド・ツェペシュが実在のワラキア公であること、串刺しを好んだこと、でも串刺しはあくまでも戦争のみせしめだったこと、ルーマニアでは祖国を救った王であること……が、ひらがな交じりの大きな文字で3ページ(たったの3ページ!)に詰め込まれています。

 強いて突っ込みどころを上げるとすれば……最後であの人が死なないってのがちょっと残念。まぁ子供向けなんで正義が勝って悪が滅びるという単純形式じゃないとマズかったんでしょう。
 挿絵が何だか御茶漬海苔(ホラー漫画家)っぽいタッチです。

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