吸血鬼の手帖

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† 吸血鬼エフェメラ

作者:大原まり子
発売:早川書房
初版:1993年07月15日
価格:1,553
頁数:286
 地球には古えの昔から、人類とは別種の知的生命体が存在してきた。
 彼らは吸血鬼と呼ばれ、その歴史は迫害の歴史であった。一族は吸血鬼狩りの激しい東ヨーロッパを逃れ、やがて、東の端の国の教会の奥深くでひそやかに生き続ける。
 だが、22世紀初頭、巨大財閥グループの総帥・大門ヤスヒロは吸血鬼一掃を目ざし、一大殺戮を開始した。
 種の存続を賭け、吸血鬼一族が最後の切り札としたものは……
 幻惑の未来世界を生きる吸血鬼たちを描く。
 久々にSFっぽいものが読みたくなって再読。

 作中でも言及されていますが、『遊星からの物体X』を見てからこちらを読むと、イメージを掴みやすいかも。
「首筋に噛み付いて血を吸う」という吸血鬼象からはかけ離れたSF作品なので、そういった古典的吸血鬼象を求めている人にはあまりお勧めできないです。『遊星~』がどんな映画か知っていて、ああいう描写は受け付けない! という人にはお勧め以前の問題。

 短編連作形式で、出てくる吸血鬼は基本的に女性ばかり。
 女吸血鬼というと妖しい期待をしたくもなりますが、そういう方向にはあまり……なくはないけどエロよりグロ寄りです。
 人間の亜種、あるいは死体が起き上がってくるようなものではなくて、完璧に別の生命が人間の中に入り込むタイプです。文字通り入り込みます。グチャっと。
 ひとつの短編が終わる時には何か良い終わりっぽく見えるのに、次の短編が始まると前回の終りのせいでまたどん底という、世の中うまく回らない感たっぷりの展開です。世知辛いなぁ。

 SF視点で読めば好きだけど、吸血鬼好き視点ではなんとなく物足りない。
 なんだかんだ言って、古典的な吸血鬼象が好きだからなぁ……。

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